須田幸英税理士事務所 事務所通信 令和元年8月号掲載
「終活」 
 最近、週刊誌の表紙に「終活」に関する文句が多く見られるようになってきました。ご存じの方も多いと思いますが、「終活」とは「人生の終わりのための活動」の略です。
 税に関する本は以前から書店にありましたし、エンディングノートに関する本も近年よく見かけるようになりました。しかし、最近はかなり刺激的な内容が週刊誌等をにぎわすようになってきました。

  この特集で先行したのは「週刊現代」ではないかと思われます。私も税理士として相続税申告に関わることは多いのですが、終活全般に関わるわけではないため興味深く読んでいます。人気の特集のため週刊現代別冊として「おとなの週刊現代 死後の手続はこんなに大変です」と「おとなの週刊現代 もっと知りたい死後の手続」の2冊が発行されています。
 極端な内容が多いのですが、私の事務所においても、昨年次のような事例がありました。

 子供のいない夫婦で、夫は数年前死亡し、今回妻が亡くなりました。妻の両親は既に亡くなっており、妻の兄弟姉妹も全員亡くなっています。残ったのは甥姪のみで、その人数なんと13人です。
 相続の順位は、配偶者は必ず相続人となり次は@子A両親B兄弟姉妹となります。兄弟姉妹が亡くなっている場合、甥姪が代襲相続人となります。つまり、弟姉妹に代わって相続人となるわけです。幸いにも今回の場合、妻が「遺言公正証書」を残しており、甥姪の内の1人に相続させることとしていたため、遺産分割でもめることはありませんでした。そもそも兄弟姉妹はもちろん甥姪には遺留分(法律上保障された一定の割合の相続財産)を請求する権利がありませんのでもめる余地はありませんでした。
「遺言公正証書」を残していなかったら13人の相続人で大変なことになっていただろうと思い、ぞっとしました。

 最近、子供のいない夫婦、独身の方等の相続案件が増えています。そうした 場合、意外な人が相続人となります。こうした場合、死後の相続でもめないよう予め準備しておく必要があると思います。
 相続税が発生する、しないは関係ありませんので十分注意する必要があるとあらためて感じる今日この頃でした。

                所長 須田幸英
 事務所通信8月号掲載
トップページへ 所長の一言トップページへ